昔のハネムーン
じょうずな旅行のしかた

(1)計画を立てる

なんといっても、きめられた予算と限られた日数を利用して行くわけですから、同じことなら、できるだけ安く、しかも楽しく、むだのないようにしたいもの。お二人で、あれこれと計画を立てる楽しさは、もはやじゅうぶんに味わっておいでだと思いますが、この旅行の計画もできるだけ早湾に立てて、検討してみることです。まず行く先ですが、「新婚旅行の行く先は」でお話ししたことをはじめに考えて、だいたいどの方面へ行きたいかをきめます。

私、カレの故郷が仙台だから、仙台にしたいと思うわ、という場合なら、問題はないでしょう。しかし、どこか、すごくロマンチックで、静かなところへ行きたいわ。では困ります。こんなときは、予算とシーズンを考え合わせて、だいたい行ける範囲を選んでみます。出かけるのが九月だから、この表を見ると、東北、関東、中部、近畿、中国、南紀、四国へ九州がいいことになるわけ。

でも予算が三万円ぐらいだから、中国、四国や九州は遠くてダメだね。こうなれば、残ったところは東北、関東、中部、近畿ということになります。次には、どういうとごろへ行くか、温泉地としても、海の近くを選ぶか、山の中にするか、というようなこと。これは、旅行案内書や旅行地図を参考にするのが便利です。日本交通公社では、「新旅行案内」どか「最新旅行案内」というシリーズで、全国各地方を十何冊かに分けて案内書を出していますし、その他にも多くの旅行案内書が書店の棚に見られましす。

また、日本交通公社発行の時刻表(大型)には、普通周遊指定地一覧という地図があって、周遊指定地になっている観光地や温泉地をあげてありますから、これも行く先地を選ぶ場合の参考になりましょう。周遊指定地は、全国で二一八ヵ所もあり、ほとんど全国のおもな観光地や温泉地を含んでおり、しかも、その指定地をニヵ所以上旅行する場合で、他のいくつかの条件を満たせば、費用が割引される周遊券(普通は一割引、ことぶき周遊券は二割引)を買うこともできるわけです。

こうして数多くの観光地や温泉地が拾い出せるわけですが、これらの中からどこを選んだらよいか。もし、一ヵ所を選ぶ場合なら、山の中の静かな温泉地とか海辺の景勝地とか、湖のほとりとか、史蹟のあるところとか、お好みのところをさがせばよいわけです。しかし、もう一ヵ所選ぶのなら、山の次には、海か湖というように、感じの変わった観光地や温泉地を選んだほうがおもしろいでしょう。しかも、できれば、はじめに選んだ観光地や温泉地になるべく近い観光地や温泉地を選んだほうが、スケジュールがゆっくり組めてよいわけです。

こうして、行く先地をだいたい選んだら、次はその行く先地について、パンフレットや参考の旅行案内書を調べて、予備知識を頭に入れ、さらに列車やバスの時刻表をめくって具体的な計画を立ててみましょう。もし、結婚式や披露宴が午後の早い時刻に終われば、その行く先地が割合に近い場合、そこで第一夜を迎えることもできましょうし、また、時間がおそくなってそれができなければ、近くの温泉地やホテルなどで第一夜を過ごすことも考えられます。

たとえば、三時に東京で披露宴が終わって、新婚旅行に京都地方の史蹟めぐりをしてみたいという場合、時刻表をめくってみますと、東海道本線下りのページで、「15時(午後3時)以降の京都までの急行、特急列車は、16時30分発の特急「第二つばめ」大阪行、京都着が22時(午後10時)28分、16時35分発の特急「さくら」長崎行き、京都着が23時(午後11時)13分、18時30分発の特急「あさかぜ」博多行き、京都着1時(午前)12分、19時発の特急「はやぶさ」鹿児島行き、京都着1時(午前)42分、20時15分発の急行「明星」大阪行き、京都着6時(午前)などがあります。

しかし、これらはいずれも、京都へ着く時間が深夜か早朝になってしまうのです。もっとも、夜行で京都に翌朝着きたいという場合なら、「明星」以降の夜行を使って、翌日の朝京都へ入ることができます。第二夜はやっぱり宿へ着いてゆっくりしたい、という人なら、むしろ、東京から近い温泉地、たとえば、熱海とか、湯河原とかで一泊して、翌日ゆっくりと京都へ向かうことをおすすめします。

熱海へ一泊する場合を考えれば、16時発の準急「新東海」大垣行きというのがあり、これなら熱海着が17時(午後5時)29分で、宿へ着く時間としては、好つごうというわけです。このほかにも、熱海までなら湘南電車撚、16時5分発、16時38分発、16時51分発、17時8分発、17時21分発などと、数多くあります。

そこで、東京 16時発、準急「新東海」、熱海着17時29分、熱海一泊という計画をひとつ考えてみます。翌日の熱海から京都まではどうするか、ということですが、時刻表で熱海を朝通る特急をさがしてみましょう。急行でもよいのですが、できれば座席指定の特急のほうが、席の心配をしないですむわけですから。

熱海発8時18分、特急「第一こだま」、京都着12時58分

これだと八時出発なので、朝が忙しいという心配がありましょう。そこで、次の特急を見ると、東京を午前9時に出る「第一つばめ」がありますが、これは熱海にはとまらず、もよりの駅では、丹那トンネルを越えた沼津にとまります。熱海から普通列車で沼津まで行き、そこからこの「第一つばめ」に乗り替えるということが考えられるわけです。

熱海発9時44分、普通列車、沼津着10時33分、特急「第一つばめ」、京都着14時58分

というスケジュールが立てられましょう。また、一等車なら、席の予約がなくても、なんとか熱海からでも席がとれるのではないか、という予想が立てられる場合には、

熱海発11時15分、急行「なにわ」、京都着17時35分

というプランも考えられます。このプランを立てる場合には、前にもお話ししましたが、普通の旅行と違って新婚旅行なのですから、時間をゆっくりできるように予定することが必要です。たとえば、朝の出発は十時ごろにするのが望ましい。九時出発ということになれば、食事は八時ごろ、起床が六時半から七時ということになって、花嫁さんにはあわただしすぎる朝となりましょう。夕方宿へ着くのも、六時以降にはならないようにしたい。タ方早めに宿へ入って、ゆっくりと新婚の夜をくつろぎたいものです。

また、昼間の見物したり、両親や仲人、友人への旅だよりを書いたり、買い物(両親や仲人へのおみやげはぜひほしいもの)をしたりという時間もじゅうぶんに予定して、持参のカメラや8ミリシネに活躍させることなど、のちのちの楽しい思い出となるような時間を過ごしたいもの。

あれこれと、お互いの希望を出し合いなが、ら、このプランをまとめあげてゆくのは、たいへん楽しいものですが、できあがったプランは、交通公社の営業所に持ち込んで、専門的な立場から検討を加えてもらうことをおすすめします。